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1.目的 (組合とは、青年部とは)
序章  中小企業の組織化
1) 日本に於ける中小企業の地位と役割
中小企業は、非一次産業(農林水産漁業を除く全産業)の内、総事務所数の99% 以上、従業員数で80%以上を占め、家族を含めた中小企業関係者の数は国民の約3 分の2に達し、国民経済を支えている。
また、その活動分野において、これまで鉱工業生産の拡大、商品流通の円滑化、海 外市場の開拓、雇用機会の拡大等 国民経済のあらゆる領域におよんで国民生活の安 定に貢献してきた。製造業においては大企業の80%以上が下請企業に外注し、中小企業の60%が下請生産を行うなどして基幹産業を支える役割を果している。
2) 組織化の必要性
1. 中小企業は大企業との比較に於いて一般的に、環境変化に対する適応能力によって産業構造の変革を支える機能を果たしているが、他方において経営資源の貧弱さなどにより、極めて高い倒産の危険性をはらんでいる。
そこで中小企業が産業構造の変化に適応して、今後も期待されるその役割を果たしていくために組織化の必要性が生じてくる。
この組織化により、中小企業は共同経済事業を通じて生産性を高め、組織規模に応じた利益の追求や、経済の合理化、取引条件の改善など個別企業の経営の安定的発展などをはかることができる。

2. 法律は、中小企業のこうした経済的社会的使命をふまえ、協同組合などの組織化を推進する。その際、基本法となるのが中小企業基本法であり、中小企業等協同組合法及び中小企業団体の組織に関する法律は組織化のための実体法である。
3) 織化の形態
中小企業の組織化、すなわち共同して経済事業を行う組織として、

1. 共同化= 事業協同組合に代表され、個別企業が資本や労働力を提供し合って、より大きな規模の事業を共同して行う組織である。事業主体は個別企業で 組合は共同事業を補充する立場に立つ。

2. 協業化= 共同化をさらに進めて、個別企業が相互に事業を提供して共同経営をする組織。事業主体は組織となり、個別企業はその事業と同一内容の事業をなしえないという競業禁止業務を追う。企業組合、協業組合にみられる。

3. カルテル=個別企業が企業の独立性を保持しながら、個別企業相互間の協定により調整事業として、生産数量、価格、品質等の協定を行うもの。独占禁止法により原則として禁止されているが、協同組合はその適用除外団体である。

4. 企業合同=個別企業が法律上一個の企業に合体するもので、合併がそれである。

5. 任意団体=1〜4は、いずれも法的な組織化であるのに対し、個別企業が法律上の主体性にふれることなく、任意に組織を形成するもので、協力会や専門店会組織などがある。

二章  協同組合の制度
1) 協同組合の特質
協同組合は中小企業の経済的自衛組織として法律に認められた制度であり以下のような特質がある。

1. 協同組合法人である。
協同組合は、法律の規定に基づき設立される組合またはその連合会であって、株式会社と同様に法人格を有するものであり、任意団体である協力会等とは異なる。
しかし、協同組合は、営利を目的とせず、経済的弱者の自衛組織として組合員の相互扶助を目的とするので、株式会社と根本的に異なる。

2. 加入、脱退の自由
自由加入・自由脱退は、協同組合の基本原則で、特に加入自由の原則に違反した場合には、罰則の適用があるほか、独占禁止法の適用除外団体としての特典を失う。

3. 議決権の平等
協同組合は、株式会社が資本的結合であるのに対し、個々の組合員の集まりである人的結合であることから、各組合員は出資口数に関係なく平等に議決権を持つ。

4. 行政庁の監督権
協同組合には、その設立につき行政庁の認可を要件とするほか、その運営についても行政庁に強い監督権がある。
2) 協同組合の種類
協同組合は、その目的・機能により基づく法律が異なる。

1. 中小企業等協同組合法(協同組合法)に基づくもの=中小企業等協同組合
これは、中小企業者等が相互扶助の精神に基づき、共同して事業を行うことにより公正な経済活動の機会を確保し、その経済的地位の向上を図ることを目的とする。
中小企業等協同組合には、以下の六種類の組合があり、それぞれの目的・機能については法律に定めがある。
 ・ 事業協同組合
 ・ 事業協同小組合
 ・ 火災共済共同組合
 ・ 信用協同組合
 ・ 協同組合連合会
 ・ 企業組合
 
2. 中小企業団体の組織に関する法律(中小企業団体組織法)に基づくもの
・ 協同組合
これは、組合員の生産、販売その他の事業活動についての共同をはかることにより、企業規模の適正化による生産性の向上等を効率的に推進し、その共同の利益を増進することを目的とするもの。
・ 商工組合
これは、組合の属する業界に関する指導事業、調整(カルテル)事業、共同経済事業組合員のためにする組合協約の締結等により、業界全体改善向上と安定的発展をはかることを目的とする。その上部団体として商工組合連合会がある。

3. その他の法律に基づく組合
・ 商店街振興組合法に基づくもの
・ 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律に関するもの等がある。

4. 単位組合・連合会・中央会
単位組合とは、小規模の事業者である個別企業を直接の構成員とする組合であり、単位組合によって構成される組合が連合会である。
 また中央会は、協同組合の上級団体であり、協同組合法には中央企業体中央会として、都道府県中小企業団体中央会と全国中小企業中央会についての規定が置かれている。

5 . 出資組合・非出資組合
出資組合とは、すべての組合員が出資一口以上を有し、組合に対して出資義務を負う組合であり、出資義務を負わない組合が非出資組合である。
協同組合法による組合及び協業組合はすべて出資組合であり、商工組合には出資組合と非出資組合がある。

三章  事業協同組合としての建具組合
序章より二章まで中小企業の組織化の必要性から組合の種類へと述べてきた訳であるが、我々のいう組合(建具組合)とはいうまでもなく、協同組合法に基づく事業協同組合である。
 この章以下では事業協同組合の概略を述べることとする。

1. 事業協同組合は中小企業の組織化としても最も利用度が高い代表的組織である。事業  協同組合の設立状況は平成元年の「中小企業白書」によれば、昭和63年3月現在38732組合に達し、中小企業団体に属する組合の約84%に及んでいる。   また設立分野は各種の製造業、農林水産業、鉱業、建設業、商業、サービス業その他あらゆる分野にわたり、組合の構成についても同業種、異業種を問わずに下請組合、系列組合、集団化組合等として広く機能している。

2. 事業協同組合は融資制度や税制上の特典などが広く適用される。 事業協同組合では、組合員である個別企業の事業者は、共同経済事業、福利厚生事業、金融事業等を通じて事業の合理化、近代化をはかることができる。

四章  組合の事業
法律により組合が行うことのできる事業は、次の通りである。
(a) 生産、加工、販売、購買、保管、運送、検査その他組合員の事業に関する共同施設生産、加工、販売等の事業は、一般的な共同経済事業を例示的に列挙したものであって、これ以外の事業を認めないということではなく、法令の許容する範囲で組合員が相互扶助の精神に基づき、組合員の事業経営の合理化、近代化を計る為に必要と思われるあらゆる事業について共同して行うことができる。
保管とは、組合が組合員から委託品の保管を受けるという意味であり、その場合事業協同組合及びその連合会は、委託品について運輸大臣の認可をうけて倉荷証券を発行することができる。
共同施設とは、共同事業用の機械設備や建物等の物的施設のほか、物的施設を伴わない共同購買、共同宣伝等も含む。また共同施設事業は「組合員の事業に関する」ものに限って行うことができるので、組合員に関係のない事業や、組合員に関係はあっても組合員の利用に供せず、第三者のみを相手とすることはできない。
(b) 組合員に対する事業資金の貸付(手形割引を含む)及び組合員の為にするその貸入
この趣旨は組合員に対する事業資金の貸付事業と、組合員に貸付けるための事業資金の借入を含む意味である。従って組合は、組合員に事業資金を貸し付ける目的であっても預金または定期積金の受入をすることは許されない。
組合は、定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、又はその金融機関の委任を受けてその債務の取立をすることができるほか、定款の定めにより組合員が金融機関以外の者に対して負担するその組合員の事業する債務を保証することができる。
(c) 組合員の福利厚生に関する施設
組合員の福利厚生をはかるために、慶弔金の給付、医療施設や体育施設の設置等を認めたものであり、その他火災共済事業もこれにあたる。
この場合の火災共済契約においては、共済契約者一人につき共済金額の総額を30万円を超えるものと定めてはならない。
(d) 図る為の教育及び情報の提供に関する施設
教育、情報に関する事業の一般的なものとしては、組合員に対する経営に関する専門的助言や、組合員に対する研修、情報の収集とその有効利用等がある。
(e) 組合員の経済的地位の改善の為にする団体協約の締結
この規定は、組合が組合員と取引関係のある第三者との間に取引条件等について契約することを認めたものである。
この契約の締結にあたっては、あらかじめ総会の承認を得て、団体協約であることを明記した書面によらなければならない。
締結した契約は、直接に組合員に対して効力を生ずる。
なお、組合員が締結する契約について、団体協約に定める基準に違反するものについては、その基準に違反する契約の部分は、その基準によって契約したものとされる。
(f) 前各号の事業に附帯する事業
この規定は(a)ないし(e)に掲げた事業に関連のある事業を併せて行うことができる旨を定めるものである。
とくに、法律では組合に対して組合員の取扱商品について商品券の発行権を認め次のように規定している。
一、 組合が商品券を発行したときには、組合員はその取扱商品について引換の義務を負う。
二、 組合員が商品券の引換をすることができない場合は、組合は商品券の所有者に対 して、商品券に記載した金額を限度として、弁済の責任を負う。

五章  組合員の資格要件
法律の規定にて、組合員資格を有するとされるのは、下記の要件をみたすものである
(a) 組合員の地区内において事業を行うものであること。
組合員定款に定められた組合の地区内に組合員たる資格に係る事業所があることを 意味し、その事業所は、支店、営業所、事務所の他、工場、作業所を含む。
(b) 事業者が行う事業の範囲には制限はない。
(c) 事業者は、個人でも法人でもよい。
(d) 小規模の事業者または事業協同小組合であること。

1. 資本の額または出資の総額が1億円を超えない事業者(但し、小売業またはサービス業を主たる事業とする事業者については1千万円、卸売業を主たる事業とする事業者については3千万円を超えないものとする)。

2. 常時使用する従業員の数が300人をこえない事業者(但し、小売業またはサービス業を主たる事業とする事業者については50人、卸売業を主たる事業とする事業者については100人をこえないものとする)。
事業協同小組合とは事業者自身の勤労によって事業を行う小規模の事業者のための組織で、この組合の組合員資格を有する者としては、組合の地区内において主として自己の勤労によって商業・工業・鉱業・運送業・サービス業その他の事業を行う事業であって、おおむね常時使用する従業員の数が5人(商業またはサービス業を主たる事業とする事業者については2人)を超えないもので、組合の定款で定めるもの。

六章  組合に対する法律上の特典
もともと中小企業に対する法律の態度は、中小企業が国民経済の発展と国民生活の安定という経済的社会的使命を果たす立場であることから、その適正な保護、育成をはかろうとするものである。
ところで中小企業は、個別企業のままであるよりも、協同組合等の組織化をはかることにより、その共同経済事業を通じて組織規模に対応する利益の追求が可能になり、
更に個別企業の合理化による経営の安定を図ることができること等により、個別企業では対応できない課題を処理することが可能になる。
そこで法律は、中小企業のこうした経済的社会的使命をふまえながら、国の中小企業政策実現の媒体となる事業協同組合等の組織化を推進し、かつその保護、育成をはかろうとするものである。
法律がこのように保護、育成を意図するのは、事業協同組合等が営利を目的とせず、組合員の相互扶助を目指す組織であることによる。
なお、法律による保護、育成の制度は、多面にわたるが、整理すると・融資、・税制、・助成、・指導、・情報提供等に分類することができる。

七章  まとめ
序章より六章にわたり一般的な組合と組合員(である中小企業)の関係について述べてきたが、我々の組合(建具組合)についても法律の元では同様の扱いをされている。
顧みるに繰り返しにはなるが、個別企業として存続の不安定を組合の組織化により経営の安定的発展をはかることができ、それこそが組合の設立目的であり、存在する価値があり、理由である。
その為には、われわれ組合員は、組合が我々に何かをしてくれるのを期待したり、受動的立場に立つのではなく、もっと能動的に我々が組合の中でどういう役割を果たせるか、そして組合をどう活用できるかということが、最も重要な命題となるのでは ないだろうか。
以上のような見地より八章以下については、組合における青年部の位置付けと特殊性そして、その進むべき方向の模索を行うこととしたい。

八章  青年部について
1) 組合に於ける青年部
青年部は四章 組合の事業の内(d)組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上、又は組合事業に関する知識の普及を図る為の教育及び情報の提供に関する施設に基づき作られている。
組合が将来にわたり存続しその機能を充分に果たすためには、各組合員の企業の安定的継続及び発展と共に後継者の育成は必要欠くべからざるものである。
そのような理由から、青年部の活動は現状の事業消化に主眼を置くのではなく、来るべき将来を見据え、方針又は指針を立てることが必要であろう。
2) 青年部の立場
さて青年部としての立場から考えると、前記の関係は、まるで頑固親父のいる息子の様なもので、如何にも自由がなく独立性が発揮できないかのようにみえる。
が、翻って考えるに現実ではどうであろうか。組合の名前であっても、実行は青年部といったように活動している場合も多々見受けられるのではなかろうか。
逆に言えば、責任を分散できる自由な立場が青年部であり、その恵まれた環境を大いに利用すべきであろう。
3) 建具組合の特異性
一言で建具組合というと、単一業種の集まりのように聞こえ、またそのように理解している向きも多い。しかし本当にそうであろうか。
たとえば、衣類関係を見ていると、先ず糸の製造があり、その糸を染め、布に織る業種があり、布にプリントを施すところがあり、それは天然の繊維であるか、化学繊維であるかによって業種が異なり、次に縫製になる訳であるが、ここでも大まかに分けても、下着、上着の区別とともに性別によって業種が異なり、その上に販売は、とみると卸売りと小売に別れている。
またそれの製造機会に至っては、例えばニット編機とミシン機では作る工場も違えば、得意先も違うというふうになっておりその構成している組合も原材料から小売業までを包括するような組織は存在しないのが現状である。
しかるに、建具組合と見れば、原材料の材木の小割業、製材業、木工機械販売、框組(枠物=所謂建具)製造工場、フラッシュ製造工場、襖材料、襖紙、合板(ベニヤ)、小売に相当する建築現場の管理をする建具店等々その業務内容は多岐にわたっている。
青年部の話題を考える時、常に難しさが伴うのは建具組合自体が、上記のような様々な業種・業態の集合体だからである。
しかし、近年、異業種交流の重要性が富に言われるようになってきている。よくよく考えるに建具組合とは、縦の異業種交流会(一つの最終製品の川上から川下までの流れで交流を持つ会)及び横の異業種交流会(或る商品の材料をとり、例えば服の材料としての、皮革、綿、絹、化繊等の業者で交流を持つ会)の集合体なのではないかと推察する。
これこそが、建具組合の特異性であると思うのである。
4) 我々青年部の進むべき方向について
もし、上記のようなこの推察が正しければ、我々の青年部において取り組むべき命題は、建具の売り単価を話し合うことではなく、原材料から最終の建築の中に嵌まった建具の流通のどの部分を各企業が担当し、ネットワークを組むことによって、各企業の集まりではなく、あたかも体の一部のように、(或る企業は手であり、又或る企業は足であるといったように)なり、全体で日本の建築に使われる建具(開口部を仕切る物)の総量を供給する一大コングロマリットになることが、可能なのか、もし可能であるとすれば、如何にすればできるのかというようなことを、模索し検討を加えていくべきではないだろうか。
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